経営・管理ビザ

日本において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理(大企業の管理職クラス)に従事する活動を行うための在留資格です。自らが経営する会社において、特段の制限なく様々な事業を行うことができる経営管理ビザはとても便利な在留資格です。また外国人のメイドさんを一緒に招聘できるのも経営管理ビザを取得されている方にのみ認められています。

*業務を執行する者に当たらない方は技術・人文知識・国際業務ビザを申請することになります。

*小規模事業所では、管理を行うだけの管理業務が存在しないとの理由で許可されにくいです。

これまでは、外国による投資(外国資本との結びつき)が前提となっていましたが法改正により、外国資本との結びつきに関する要件がなくなり、国内資本企業の経営・管理を行う外国人にも「経営・管理」ビザが付与されるようになりました。また、法人が成立した後にしか申請できず、「投資・経営ビザ」の申請の際は、その会社の謄本の提出の必要がありました。

しかし、法人を成立させるためには、資本金の払い込みのための発起人名義の銀行口座が必要となり、銀行口座を作るためには日本に住所が必要です。このため、住所登録に必要な在留カードが発行されない3ヶ月以下の在留期間(短期滞在ビザ等)では、銀行口座が作れず、一人で法人を設立することができない状況でした。

これが、「経営・管理ビザ」の在留資格認定証明書交付申請では、まだ法人が成立していない場合は、法人の登記簿謄本に代わって、定款等の事業開始が明らかになる資料を提出することで、「経営・管理ビザ」が取得できるようになりました。

投資経営ビザから経営管理ビザとなり、新たに4ヶ月の在留資格ができました。それにより、経営管理ビザの在留期間は、「5年」、「3年」、「1年」、「4か月」、「3ヶ月」の5種類となっています。

会社の設立準備を進め、しっかりとした事業の計画があるということを証明できれば、4ヶ月の経営管理ビザが貰えるようになりました。

これにより、在留期間が3ヶ月を超えるため、「経営・管理ビザ」の在留資格で在留カードが発行されるため、住所登録が可能になります。そして、自分個人名義の住民登録や銀行口座の開設が可能になり、自分一人で会社設立を行うことが可能になります。これまでは、「協力者の銀行口座を借りる」状況でなければビザ申請はできなかったのが日本に協力者がいなくとも外国人が1人で起業してビザが取れるようになりました。

① 事業所について

申請に係る事業を営むための事業所が日本に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合にあっては、当該事業を営むための事業所として使用する施設が日本に確保されていること

その事業が継続的に運営されることが求められます。

不動産登記簿謄本や賃貸借契約書などの資料を入国管理局に提出する際に、 その使用目的を事業用であることを明らかにする必要があります。

住居として賃貸している物件の一部を使用する場合や、簡単に契約できるレンタルオフィスな事業が継続的に行われることを立証するのが難しくなり、経営管理ビザ取得の難易度も上がります

② 事業規模について

  • 日本に居住する2名以上の常勤職員を雇用すること

この常勤職員は、日本人・特別永住者・永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等、定住者の方でなければなりません。

  • 資本金又は出資の額が500万円以上であること

新規事業に対して、ただ500万円以上を投資すればよいというわけではなく、その投資金額は、誰がどのように調達したのかを説明することが重要になります。

③ 事業の安定性・継続性 

事業が安定して継続的に営まれることを事業計画書(日本語の文書)で説明できること

④ 事業の管理に従事する場合は一定の実務経験と報酬額が必要

事業の管理者(部長や支店長又は出資をしていない所謂雇われ社長)として働く場合は、事業の経営・管理についての3年以上の経験が必要、かつ、日本人が従事する場合と同等額以上の報酬を得ることです(概ね20万円以上)。

これらに準ずる規模と認められるときは基準を満たすとされています。

常勤職員が1人しか従事していないような場合に,もう1人を従事させるのに要する費用を投下して営まれているような事業の規模がこれに当たります。この場合のその費用としては,概ね250万円程度が必要と考えられます。

外国人が個人事業の形態で事業を開始しようとする場合に,500万円以上を投資して営まれているような事業の規模がこれに当たります。この場合の500万円の投資とは,その事業を営むのに必要なものとして投下されている総額であり,以下の1~3の目的で行われるものがこれに当たります。

例えば, 

引き続き行われている事業の場合は500万円以上の投資が継続して行われていることが必要であり,これが確認される場合に,事業規模を満たしているものとされます。

1.事業所の確保 その事業を営むための事業所として使用する施設の確保に係る経費

2.雇用する職員の給与等 役員報酬及び常勤・非常勤を問わず,当該事業所において雇用する職員に支払われる報酬に係る経費

3.その他 事業所に備え付けるための事務機器購入経費及び事業所維持に係る経費

 一般的には,会社の事業資金であっても会社の借金は直ちには投資された金額とはなり得ないがその外国人がその借入金について個人保証をしている等の特別の事情があれば本人の投資額と見る余地があります。

経営管理ビザの在留期間の更新を行う際、入国管理局は事業の安定性や継続性について慎重に審査されます。

経営・管理ビザの更新

経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)更新の際、重要なことは、日本法人の決算状況です。具体的には損益計算書と貸借対照表です。単年度が赤字決算であるから更新ができないということにはなりませんし、特に会社設立後1期は赤字になる場合が多いので、貸借状況等も含めて入国管理局は総合的に判断します。

なお、2期連続して売上総利益が計上されていない場合、または、2期連続して債務超過の状態が継続している場合には事業の継続性、安定性がないものと判断されることが多いです。

経営管理ビザの期間は通常1年間ですが、2期以上連続で黒字決算の状態が続いている場合には、3年間の経営管理ビザの発給を受けられることがあります。3年間の経営管理ビザの発給が受けられるかは、経営者の経歴、日本の在留状況、会社の規模や経営内容などを総合的に判断して決定されます。

また、経費削減を目的に、代表者の役員報酬を極めて低い水準にしてはいけません。月額で20万円程度は確保できるようにした方が得策です。

特定活動

人の活動は多種多様で、すべての活動を在留資格に当てはめることはできません。このため、活動を目的とする他の在留資格に該当しない活動の受け皿として、法務大臣が個々の外国人について特に活動を指定する在留資格です。 外国人個々に指定される活動なので、就労の可否・在留期間は、指定される活動内容により定められています。

特定活動は、大別して3つに分けることができます。

  1. 1. 法定特定特定活動
  2. 2. 告示特定活動
  3. 3. 告知外特定活動

上記の1と2については、在留資格認定証明書交付申請を行うことができます。上記3については、在留資格認定証明書交付申請を行うことができず、主に、現在何らかの在留資格で日本に滞在している外国人が、在留資格変更許可申請を行った場合などに、在留資格「特定活動」が付与される可能性があるということです。

主な特定活動

卒業した留学生が就職活動

1  継続就職活動大学生

 在留資格「留学」をもって在留する日本の学校教育法上の大学(短期大学及び大学院を含む。以下同じ)を卒業した外国人(ただし、別科生・聴講生・科目等履修生、および、研究生は含まない)で、かつ、卒業前から引き続き行っている就職活動を行うことを目的として日本への在留を希望する者(高等専門学校を卒業した外国人についても同様です。)

2  継続就職活動専門学校生
 在留資格「留学」をもって在留する日本の学校教育法上の専修学校専門課程において、専門士の称号を取得し、同課程を卒業した外国人で、かつ、卒業前から引き続き行っている就職活動を行うことを目的として本邦への在留を希望する者のうち、当該専門課程における修得内容が「技術・人文知識・国際業務」など、就労に係るいずれかの在留資格に該当する活動と関連があると認められる者 

*日本語学校を卒業しただけでは対象にはなりません。

高齢の親の日本への呼び寄せ

ご両親が高齢で、母国に身寄りがない場合はとても心配です。日本での生活が長くなると、仕事などの関係で、長期に母国に帰国して世話をすることができない状況の方は多いと思います。

このような場合、人道上の配慮から、「子の扶養を受ける活動」が指定された「特定活動ビザ」が付与されることがありますが、簡単ではありません。

また、「子の扶養を受ける活動」としての「特定活動」は、許可基準が公表されておらず、不明確であり、何らかの条件を満たせば許可されるとは限らないことです。また、反対に許可されないだろうと思っても不許可にならないこともあります。

①一般的に高齢であること

70歳未満は厳しいと考えられます。

②本国にご両親の面倒をみる人がいないこと

 本国に、介護能力のある健康な配偶者がいる、実子(兄弟など)がいるなどの事情があると、一般に、子の扶養を受ける必要性はない、と評価されます。

③ご両親が日本での就労を予定していないこと

④招へい者(通常、在日の実子)にご両親の扶養能力があること

あくまでも在留の目的は、「子の扶養を受けること」なので、子の孫の面倒をみるなどの目的は対象外です。

なお、「子の扶養を受ける活動」が指定される「特定活動」は、在留資格認定証明書の交付対象外です。

*高度人材として認められた外国人の方は、例外的にご両親を日本に中長期的に呼ぶことができるものとされています。この際の外国人の親の方に求められる要件の一部は次のとおりです。

1 高度人材外国人と同居すること

2 高度人材外国人の世帯年収が800万円以上あること

インターンシップなど

外国の大学に通う学生を報酬を支払ってインターンシップ(学業等の一環として,日本の企業等において実習を行う活動)に迎え入れる場合は、在留資格「特定活動」を得る必要があります

報酬を支払わない無償のインターンシップとして迎え入れる場合は、90日以上の場合は在留資格「文化活動」を得る必要がありますが、90日以内の場合は、在留資格「短期滞在」の対象となります。

その他、サマージョブ(学業の遂行及び将来の就業に資するものとして,夏季休暇等の期間(3月を超えない期間)を利用して我が国の企業等の業務に従事する活動)を希望する場合や、国際文化交流(大学の授業が行われない3月を超えない期間,我が国の地方公共団体が実施する国際文化交流事業に参加し,日本の小中学校等において国際文化交流に係る講義を行う活動)があります。

出国準備

在留資格の更新申請や変更申請をしてそれが不許可になった場合、通常は、30日の出国準備期間が与えられ、「特定活動ビザ(在留資格)」になります(現在保有している在留資格によっては、30日で日本での契約関係を解消することが困難な場合があり、その場合には4ヶ月、2ヶ月などの期間が与えられることもありえます)。

このようなときに、出国準備のための「特定活動ビザ」から、「他の在留資格」(就労系が多い)への変更を希望され、それが認められる場合があります。しかし、この申請は簡単ではなく、時間切れになる危険があり、難しい申請となります。

医療・入院

病院などに入院して治療を受ける活動をする場合や、病院などに入院して治療を受ける外国人の付き添いをする活動の場合に、「特定活動」が付与されます、

観光・保養

海外富裕層を対象とした観光目的による長期滞在を可能とする制度です。この制度により、外国人の富裕層を対象に、観光、保養を目的とする長期滞在が「特定活動」の在留資格により可能となります。

*6月(6か月の在留期間満了前に地方入国管理局にて在留期間更新許可申請手続を行うことにより最長1年)

国民健康保険

外国人住民も「住民基本台帳制度」の対象になりました。このため、3ヶ月を超えて日本に滞在する外国人は、国民健康保険に加入する必要があり、入管手続きにおいても、許可・不許可の大きな判断要素となっています。

この手続きは、住民登録を行った市区町村役場の国民健康保険窓口に、在留カードまたは外国人登録証を提示すると、保険証が発行されます。

国民健康保険に加入する義務のある、住民基本台帳制度の対象になる外国人は以下の通りです。

なお、健康保険加入義務のある企業などに所属する外国人の方は、健康保険組合や全国健康保険協会(協会健保)へ加入することになります。

中長期在留者

(在留カード交付対象者)

日本に在留資格をもって在留する外国人であって、3月以下の在留期間が決定された者や短期滞在・外交・公用の在留資格が決定された者等以外の者。

特別永住者

入管特例法により定められている特別永住者。

一時庇護許可者または仮滞在許可者

入管法の規定により、船舶等に乗っている外国人が難民の可能性がある場合などの要件を満たすときに、一時庇護のための上陸の許可を受けた者(一時庇護許可者)や、不法滞在者が難民認定申請を行い、一定の要件を満たすときに仮に我が国に滞在することを許可された者(仮滞在許可者)。

出生による経過滞在者または国籍喪失による経過滞在者

出生または日本国籍の喪失により我が国に在留することとなった外国人。

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