外国人雇用にあたって大きいなリスクのひとつが不法就労助長。そのリスクを防ぐために、外国人の在留資格と就労制限の確認が不可欠です。

外国人雇用外国人には 日本で就労できる外国人と、 日本で就労できない外国人がいますし、資格を持っていたとしても、 貴社で雇用できる要件を満たしているとも限りません。

もしこのような確認を怠り、間違った雇用をしてしまうと、知らないうちに 違法行為になり、本人だけでなく 雇用主も罰せられる可能性がありますので、注意が必要です。

外国人を雇用する前に確かめておかなくてはならないこと

不法滞在者(オーバーステイ)等の場合

在留資格を持っていない人、期限が切れている人は不法入国者、不法滞在者です。

就労ビザを持っていない

就労できない在留資格

これらの在留資格を持っている外国人は就労することができません。ただ、資格外活動許可を取得すれば、その許可の範囲内で就労可能となります。

文化活動 留学 研修 家族滞在 短期滞在

資格外活動許可の確認は、在留カードの裏面にある資格外活動許可のスタンプか指定書から確認できます。

*従来「短期滞在」の人は資格外活動許可を取得できません。ただし、新型コロナウィルス感染症の影響を受けて帰国困難となった「短期滞在」の外国人については、現在資格外活動を許可されることになりました。

http://www.moj.go.jp/isa/content/930005847.pdf

就労の可否が許可の内容によって変わる在留資格

「特定活動」が該当します。既存の在留資格に分類できない活動に従事する外国人に与える在留資格です。指定された就労活動のみ従事できます。その活動内容の詳細は指定書に記載されています。

外国人を正社員として採用した場合

まず行わなければならない重要なステップは、在留資格(ビザ)の確認です。

社員として外国人を採用する場合、原則として就労ビザが必要です。

その多くは就労ビザのうち、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用することになります。

就労ビザの申請手続きは雇用契約書を締結していることが前提です。

在留資格の種類が「永住者・定住者」「日本人の配偶者」の場合、改めて就労ビザを取得する必要はありません。これらは「地位・身分に基づく在留資格」と呼ばれます。これらの在留資格を持つ外国人は、活動制限がありません。すなわち職種の制限がなく日本人と同じ条件で働くことができます。

次のステップは雇用契約書の作成です。外国人の雇用契約書も、基本的に日本人の雇用契約書と作成方法は変わりません。

    母国語など外国人が理解できる言語で作成する

    業務内容は、外国人の学歴や職歴に関連したもの

    就労ビザの許可が降りない場合の取り扱いについての一文を添える(※)

※就労ビザの申請手続きは雇用契約書を締結していることが前提となりますが、申請したからといって許可が降りるとは限りません。雇用契約書には「就労可能な在留資格の許可および在留期間の更新」などを条件として明記し、採用予定の外国人にも就労ビザが下りなかった場合には採用を取り消す旨を説明しておきましょう。

就労ビザの申請手続きをする

就労ビザの申請手続きは、採用する企業の所在地を管轄する入国管理局に行います。

すでに日本で働いている外国人を中途採用する場合

外国人を中途採用する場合、前職と同じ仕事内容であれば、就労ビザの申請手続きではなく、就労資格証明書交付申請を行い、自社で採用が可能かを入国管理局に判断してもらいましょう。

日本で仕事をしようとする外国人が、働くことのできる在留資格を有していること、または特定の職に就くことができることを証明する文書で、法務大臣が発給するものです。

この証明書は、外国人がすでに有する在留資格に基づき発給されるものです。

外国人を雇用する企業などでは、旅券や在留カードに記載されている内容だけで、その外国人が就労できるのかどうかを見極めることは、簡単ではありません。

 このため、就労可能な外国人が、企業側から就労可能かどうかが疑わしいという理由で就職を断られたり、企業が就労できない外国人を雇い法律違反を犯したりするようなことを防止するために、在留外国人から申請があれば、その旨を証明する就労資格証明書を交付するようにしています。

このように、この証明書をもっていれば、本人にとっても、雇用主にとっても、大変有益なものとなります。

*就労関係の在留資格を有する方が、まだ在留期間が残っている間に同業種への転職をするような場合は、就労資格証明書交付申請を行ったほうが得策です。転職先の業務が、現在の在留資格の活動内容に適合しているかを審査してもらうようにします。その後、在留期間更新許可申請の際にこの証明書も一緒に提出すればほぼ確実に更新は許可されます。

短期滞在ビザ

短期滞在とは、日本に短期間に滞在して行う観光、業務連絡などの商用、親族訪問、文化学術活動、その他これらに類似する活動をいい、一時的に日本に滞在することが予定されているものをいいます。

短期滞在は、報酬を得る就労活動はできず、病気治療など人道上やむを得ない特別な事情がない限り、在留期間の更新は原則として認められません。 在留期間は、90日、もしくは、30日、または15日以内の日を単位とする期間です。

なお、アメリカ・カナダ・韓国・タイ・ドイツ・フランスなど査証免除国は、短期滞在のビザを取得することなく、日本に入国が可能です。

申請に必要な資料

日本で受け入れをする方が準備する資料と、本人が用意する資料があります。 

日本側で用意する資料は、日本で受け入れをする方が本人に送り、本人が、現地で用意する資料とともに、現地の日本大使館などで申請することになります。

必要な書類は、申請する国により異なりますが、『招へい理由書』、『身元保証書』、『滞在予定表』、その他、受け入れをする方に関する資料などがあります。

当事務所では、『招へい理由書』、『身元保証書』、『滞在予定表』など、お客さまの事情に応じて、日本側で用意する資料等の作成をサポートいたします。

『短期滞在』のビザ(在留資格)で日本に在留し、その後、在留資格を変更することは、原則としてできません。

しかし、『短期滞在』で日本に在留中に、在留中に就職が決まるなどにより、在留資格認定証明書交付申請をして許可された場合、認定証明書を添付して在留資格変更許可申請を行うとは可能です。また、日本人や永住者と婚姻するような場合には、婚姻を目的として短期滞在で上陸許可を受けた後、不正がなければ、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等への在留資格変更が認められます。この場合、在留資格認定証明書は必要ありません。

老親を呼び寄せる場合、条件を満たし、やむを得ない事情と判断されれば、老親が短期滞在で上陸し、その後、『特定活動』への変更が認められるケースがあります。

また、『高度人材』の在留資格者が、子の養育を目的として親を呼び寄せる場合(7歳未満の子を3か月以上継続して養育)があります。この場合、在留資格認定証明書が交付されたのち、親が上陸するのが原則ですが、『短期滞在』で上陸し、その在留期間内に在留資格認定証明書が交付されれば、『特定活動』への変更が認められます。

先の『短期滞在』の査証申請や上陸について、滞在目的が不正であるような場合には許可されないこともあります。

また、『短期滞在』の在留期間中に、在留資格認定証明書交付申請の許可・不許可の結果がでなかった場合は一旦帰国して、許可後に再度、来日することが必要になります。

再入国許可申請

再入国許可申請をしないで出国すると、最初に日本に入国した時と同様に面倒な手続きが必要となり、また、出国前の在留資格が再び付与される保証はありません。

このような不便を解消するために、出国前にあらかじめ再入国の許可を受けた場合は、この許可があれば、同じ在留目的で再び入国する時は、査証を必要とせず、出国前の在留資格、および、在留期間が継続できるようになっています。

再入国許可は、1回限り有効なものと、有効期間内であれば何回でも再入国できる数次有効なものがあります。数次有効な許可は、本人の申請に基づき法務大臣が相当と認められるときに限り許可されます。

再入国許可の有効期限

最大5年間です。延長は認められていません。残りの在留期間が5年に満たない場合は、その在留期限までです。

永住者も最大5年間ですが、6年間を超えない範囲で延長が認められます。病気など特別な事情がある場合で、最寄りの日本大使館(領事部)に有効期間の延長の申請をします。

特別永住者については、最大6年間です。病気など特別な事情がある場合にさらに1年間(最大7年間)延長の許可を受けることができます。

みなし再入国の制度

日本に在留資格をもって在留する外国人で、有効な旅券(難民旅行証明書を除く)をもっている人が、出国する際に、入国審査官に対して、再び入国することの意思があることを告げて出国する場合は、再入国の許可を受けたものとみなす、とする制度です。

有効期間は、出国した日から1年間(残りの在留期限1年に満たない場合は、満了日まで)。特別永住者の場合は、2年間(有効な旅券と特別永住者証明書を所持する者に限る。)

延長の規定はなく、手数料は無料です。

再入国許可は、退去強制事由に該当する外国人、または、在留中の素行が好ましくない外国人については、再入国の許可が与えられません。

外国人留学生を採用した場合

留学生は、学習や研究のため日本に留学しているので、基本的には就労禁止であり、「資格外活動許可」を受けていないと、アルバイトもできません。それも週28時間以内、風俗営業禁止といった制約があります。

在留資格が留学生のままでは一般就労はできません。在留資格変更許可申請により就労可能なビザに変更する必要があります。1ヶ月から3ヶ月ほど期間がかかるのが一般的です。就労ビザは手続きを行えば必ず認められるものではありません。

    仕事内容と学歴・職歴の関連性

    採用予定の外国人の前科の有無

    採用する企業の財務状況

    採用予定の外国人の給与水準

前述した通り仕事内容が、外国人が卒業または卒業予定の大学や専門学校での専攻内容に関連していることが重要です。

とりわけ日本の専門学校卒業生の場合は、業務内容と学校で学んだことの「関連性」が大卒者以上に求められる傾向が見られます。他にも、採用予定の企業の財務状況が安定していない場合や、採用予定の外国人の給与水準が極端に低い場合や、同職種の日本人より低い場合などは、就労ビザの許可が降りない場合があります。

外国人を採用した後の手続きと注意点

外国人を採用した際には、法律上ハローワークに「外国人雇用状況届出書」の届け出が義務付けられています。ただし、採用した外国人が雇用保険に加入する場合は、雇用保険の手続きと兼ねることができます。

担当業務に制限がある

技術・人文知識・国際業務の就労ビザで外国人を採用した場合、在留資格にもとづく業務のみ担当することが許されます。例えば、単純労働は認められていません。

また、コンピュータ技術者が「技術」の在留資格を持っている場合、通訳や翻訳の仕事に従事することはできません。場合によっては採用した企業が不法就労助長罪に問われることもあるので、部署異動の際など、十分に気を付けましょう。

在留資格(就労ビザ)の管理

在留資格は一定期間で更新を行う必要があります。基本的には外国人本人が管理しますが、在留期間を過ぎた外国人を雇用していると、採用した企業も不法就労助長罪という犯罪に問われることがあるので、会社としても注意をしていく必要があります。

お気軽にお問合せ下さい

SUNNY SIDE(サニーサイド)行政書士事務所
〒652-0843 兵庫県神戸市兵庫区船大工町2-1 高田屋久菱ビル1階
TEL 078-585-6261
受付:10時~19時、土日祝は10時~17時 休業日:水曜日