「企業内転勤」は、本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、本邦にある事業所に期間を定めて転勤して、当該事業所において行う理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務に従事する活動に従事する在留資格です。
 具体的には海外にある親会社からその日本支店や日本子会社に転勤してくるいわゆるエクスパットの方々や、日本の大手企業の海外子会社から転勤してくる場合もこの在留資格に該当します。

在留資格該当性(申請人の行う活動が以下のような活動であること)

「本店、支店その他の事業所」
以下のような異動であることが必要です。
1 親会社子会社間の異動
2 同一法人の本店支店・営業所・駐在員事務所間の異動
3 親会社・孫会社間の異動、及び子会社・孫会社間の異動
4 子会社間の異動
5 孫会社間の異動
6 親会社関連会社、子会社子会社の関連会社間の異動

「期間を定めて転勤」
あらかじめ期間が定まっていない転勤は在留資格該当性がありません。もっとも、実務上、「企業内転勤」の在留資格を得た後で業務の都合等により転勤期間を短縮・伸長することは認められます。

「当該事業所において行う」
「当該事業所」内に勤務する必要があるので、労働者派遣事業法上の派遣労働者として所属機関の客先にて勤務することは認められないという解釈が入管当局内で有力です。派遣の場合は「企業内転勤」ではなく「技術・人文知識・国際業務」を申請するべきです。

「技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」
「企業内転勤」の場合も、アカデミックな専門知識を要する業務に従事することが必須です。農作業、工場内での単純作業、家事使用人としての業務等、「技術・人文知識・国際業務」で認められない業務に従事する場合は、「企業内転勤」の在留資格も得ることができません。

許可基準に適合

「直前に」
転勤直前に一度退職していたら、転勤時に再度雇用されていても基準適合性がありません。転勤直前まで外国にある本店等に在職していることが必要なので、過去の勤務実績は使えません。

「法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる業務に従事している場合で」
どんな業務でもよいわけではなく、「技術・人文知識・国際業務」(すなわちアカデミックな専門知識を要する業務)に従事していなければ基準適合性がありません。

「企業内転勤の在留資格をもって外国に当該事業所のある公私の機関の本邦にある事業所において業務に従事していた期間がある場合」
過去1年以内に日本に転勤していた外国人が派遣元等に戻った後、再度日本に転勤するときは、日本に在留していた期間も1年間の勤務経験に参入できるという意味です。「企業内転勤」の在留資格で日本に在留していた期間しか参入されませんので、注意してください。

「継続して」
転勤前1年以内に一度退職して再就職した場合は、基準適合性がありません。過去複数回に分けて勤務した場合に、その複数の勤務期間を合計すれば1年以上の勤務実績がある場合も、基準適合性がありません。

「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬」 
原則として同じ所属機関で同じ業務に従事する日本人と比較して同等額 以上であることが必要です。とはいえ、実務上は月額20万円前後の報酬 を受け取っていれば、報酬が少ないことを理由に不許可になることはまず ありません。報酬額が所属機関の所在する都道府県の法定最低賃金を割り 込んでいれば不許可になる可能性が大きいです。 

その他注意事項

入管法所定の活動に「期間を定めて転勤」とあるので、「企業内転勤」の在留資格を得るためには転勤の期間が決まっている必要があります。
そこで、申請書の就労予定期間や派遣元の辞令・転勤命令書等の就労予定期間の欄に「期間の定めなし」と書くと不許可になるおそれがあります。
なお、仮に就労予定期間を「1年間」と記載して「企業内転勤」の在留資格を得ても、後から転勤の期間を延長することが決まったときは、在留期間の更新許可申請しても問題ありません。

お気軽にお問合せ下さい

SUNNY SIDE(サニーサイド)行政書士事務所
〒652-0843 兵庫県神戸市兵庫区船大工町2-1 高田屋久菱ビル1階
TEL 078-585-6261
受付:10時~19時、土日祝は10時~17時 休業日:水曜日